あらすじ
15人の「大丈夫?」には気づけるのに、
自分の「大丈夫じゃない」だけ、ずっと言えなかった。
ーー
Rain Crownのキャプテンに突然指名された新宮楓花。
理由は、誰よりしっかりしているからではなかった。
「一番前を歩く人じゃなくていい。
一番後ろまで見られる人に、お願いしたい」
楓花はいつも15人を見ていた。
落ち込んでいる子。
悔しさを隠している子。
一人で練習している子。
誰かの小さな変化に気づき、「大丈夫?」と声をかける。
やがて15人にとって、楓花は頼れるキャプテンになっていく。
けれど、その代わりに楓花は自分自身を見失っていった。
自分だって選ばれたい。
もっと前で踊りたい。
悔しい。
怖い。
そして本当は――甘えたい。
それでも、
「私がキャプテンだから」
と笑い続ける。
ついに限界を迎えた楓花は叫ぶ。
「私だって末っ子なんだけど!」
「私だって、誰かに“大丈夫?”って聞いてほしいよ!」
それでも涙は出なかった。
翌日。
「私、キャプテン辞めたいです」
キャプテンという役割を一度手放した楓花は
「一人のアイドル」として15人の隣に立つ。
そこで初めて気づく。
自分はキャプテンだから15人を見ていたんじゃない。
この15人が好きだから、見ていた。
そして――
自分もまた、15人に見てもらっていた。