あらすじ
ルーディア王国の王都では、白環泉と呼ばれる聖なる井戸の水が人々の病を癒やすと信じられていた。
だが、下町では原因不明の眠り病――通称「青眠り」に倒れる人間が増えている。
水路番の父を三年前に亡くし、今は弟の薬代を稼ぐため、下町の井戸を検査して暮らす少女トワ・エンデ。彼女は、水の匂いと舌触りだけで異常を見抜く変わり者だった。
ある日、王都最大の祭で、トワは第五王子フィンが口にしようとした聖水を取り上げる。
その水には、下町の井戸では決して混ざるはずのない毒草の成分が含まれていた。
王子を救った褒美として、トワは王宮の臨時水守りに任命される。ところが、第五王子フィンは病弱で愚かな王子という評判とは裏腹に、他人の前では決して本心を見せない嘘つきだった。
「僕が知りたいのは、誰が僕を殺そうとしたかじゃない」
「では、何を?」
「誰が、王都の水を殺したのかだよ」
聖なる井戸。腐り始めた水路。父に着せられた罪。
少女は王宮の地下に隠された、王国そのものの秘密に足を踏み入れる。