あらすじ
街のはずれで薬草を摘み、小さな店を手伝っていた少女・ツユクサは、ある日役人に捕まり、「記憶を預かる」という宮の仕事に連れてこられる。そこは、人々の忘れたくない思い出、捨てたい後悔、そんな記憶を「花」の形にして守る場所。けれどれ、預かったはずの記憶が少しずつ消え、混ざり、やがて人の姿になって歩き出すようになった。誰もが「古いしきたり」のせいだと言うけれど、ツユクサはその言葉に引っ掛かりを覚える。理不尽な命令、先輩たちの沈黙、そして自分の過去にもつながる秘密 —— 見て見ぬふりをすれば平和でいられる。それでも彼女は、記憶たちが本当に望むものを探し始める。夜明け前の薄暗い庭で、小さな露草が咲くように、一歩ずつ。