あらすじ
ブラック企業に勤める十九歳の青年、赤羽劉生。
営業、経理、総務――あらゆる仕事を押しつけられ、ろくに眠ることさえ許されなかった彼は、睡眠不足と過労の末に命を落とした。
次に目を覚ましたとき、彼は異世界の貧乏準男爵家の長男――カシアン・マキャベリとして生まれ変わっていた。
屋敷は半壊。
使用人は一人もいない。
領地は貧しく、家族が腹いっぱい食べることすら難しい。
そんなカシアンが手にしたのは、人や物、動植物に秘められた価値を見抜く力――《万物鑑定》。
「まずは家族全員、腹いっぱい食えるようにしてやる」
始まりは、ただそれだけだった。
現代で身につけた実務経験と《万物鑑定》を武器に、埋もれた人材を見つけ、商人と渡り合い、領地を立て直していくカシアン。
やがてその手は、腐敗した貴族社会そのものへと伸びていく。
身分も血筋も関係ない。
使える者は拾い上げる。
邪魔する者には容赦しない。
そしていつしか彼は、貴族たちからこう呼ばれるようになった。
――《狂犬》。
「上等じゃねぇか。誰が俺を飼い慣らせるか、やってみろよ」
これは後に王国すら動かす一人の悪役貴族と、その兄弟たちが、貧乏準男爵家から頂点へと駆け上がっていく物語。