あらすじ
人は死ぬ瞬間、何を聞くのだろう。
叫び声。
荒い呼吸。
逃げ惑う足音。
そして――最後の一音。
数年前、複数の殺人事件が起きた。
被害者たちは皆、殺される直前に奇妙な音を残していた。
誰もいない場所から聞こえる足音。
「コツ……コツ……」
深夜の校舎に響く子供の笑い声。
受話器の向こうから聞こえる、自分自身の呼吸。
そして、録音した覚えのない声。
「……見つけた」
事件から年月が過ぎた今、再び「死音」が鳴り始める。
その音を聞いた者には、逃げることも、耳を塞ぐこともできない。
音は少しずつ近づいてくる。
一歩。
また一歩。
やがて、音を聞いた者たちは、自分が過去に隠してきた罪と向き合うことになる。
しかし、それぞれの事件の裏には、殺害された被害者たちの存在があった。
彼らはなぜ死んだのか。
なぜ死の直前に音を残したのか。
そして、誰も知らない「八人目の被害者」とは何者なのか。
十の物語が交わったとき、「死音」の正体が明らかになる。
これは幽霊の物語ではない。
殺された者たちが、最後に残した音の物語。
あなたがこの物語を読み終えたとき――
もし、部屋の外から、
「コツ……」
と音が聞こえたら。
決して、振り返ってはいけない。