あらすじ

「こんなの簡単ですわ!」 伯爵令嬢アリシアが指を振ると、巨大な魔物が吹き飛んだ。 歓声の中、彼女は当然のように胸を張る。 なお、このお嬢様に魔力はない。 魔法を使ったのは、後ろで腰を抜かしたふりをしている俺だ。 「レオン、もう大丈夫ですわよ」 自分が助けたと、本気で思っている。 (ぎっっっん゛も゛ぢぃぃぃィィぃぃぃ!!!) 始まりは八歳の頃。お嬢様の掛け声に合わせて、こっそり蝋燭に火をつけただけだった。 それが面白いくらいに勘違いした。褒めれば褒めるほど調子に乗り、翌日には自分の才能について語り始めた。 もっと凄いことをやらせたら、こいつは何と言うだろう。 その好奇心に、俺は人生を突っ込んだ。 寝る間を削り、ポーションを飲んで魔法を磨く。魔法で無理なら力ずくで実現できるよう、肉体も鍛え抜く。 何年もの努力を自分の才能だと信じ込み、お嬢様は今日も「わたくしにできないことなんてありませんわ」と笑う。 いいぞ。そのまま育ってくれ。 やがて入学した王立学院で、お嬢様の勘違いは本物の天才たちまで巻き込み始めた。 勝負を挑む名門令嬢。常識外れの魔法に目をつける教師。そして、ますます自信を深める魔力ゼロのお嬢様。 「お望みでしたら、わたくしの実力をお見せしますわ!」 おいおい、そんなことまでできるつもりなのか。 俺は澄ました顔で一礼し、お嬢様のために場所を空けた。 「存分にどうぞ、お嬢様」 ここまで言い切ったこいつに、今さら失敗なんてさせられない。 成功させれば、きっともっと面白いことになる。

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カクヨム
カクヨム2026/09/22
  • 現在の作品魔力ゼロのお嬢様を勘違いさせるのが気持ちよすぎて、人生を捧げた執事の話