あらすじ
景司と崇は、入社以来三十年以上、同じ会社で働いてきた。景司は無口で仕事ができる男。一方の崇はおしゃべりで、仕事より昼飯を気にするような男だった。性格も仕事ぶりも正反対なのに、なぜかいつも隣にいる。書類紛失、仕事の失敗、上司への愚痴、若い社員との世代ギャップ、二人は何度も騒ぎを起こしながら、そのたびに支え合ってきた。やがて定年を迎え、景司が先に会社を去る。崇も後を追うように定年を迎えるが、会社という共通の場所がなくなって初めて、二人は気づく。自分たちをつないでいたのは仕事ではなく、何気ない毎日の積み重ねだったのだと。昼飯を食べ、昔話をし、くだらないことで笑う。三十年以上「腐れ縁」と呼んできた関係は、いつの間にか、かけがえのない友情になっていた。