あらすじ
目を覚ますと、昨日とまったく同じ朝だった。
大学生の水城透は、奇妙な違和感を覚えていた。
スマートフォンの日付は昨日と同じ。
テレビのニュースも同じ。
友人との会話も、昨日と一言一句変わらない。
そして午後10時。
昨日と同じように、大学の旧校舎で一人の女子学生が殺される。
透は事件を防ごうとするが、どれだけ行動を変えても、午後10時になると必ず彼女は死んでしまう。
しかし、繰り返すたびに少しずつ違うものが見えてくる。
一度目には気づかなかった血痕。
二度目には存在しなかったメッセージ。
三度目には、被害者自身が残した謎の言葉。
「私を殺す人を探さないで」
「昨日を殺した人を探して」
透は意味が分からないまま、事件の真相を追い始める。
やがて分かったのは、同じ一日を繰り返しているのは透だけではないということだった。
事件に関わる人物たちもまた、それぞれ別の「昨日」を覚えていた。
誰かは犯人を知っている。
誰かは被害者を救おうとしている。
そして誰かは、事件そのものを繰り返すために動いている。
何度目かの午後9時。
透はついに、事件が起きる前の旧校舎で一人の人物と出会う。
その人物は透を見るなり、こう言った。
「やっと、ここまで来たんだね」
そして告げられたのは、透自身がこの事件の最初の被害者だったという事実だった。
では、今まで透が繰り返していた一日は、一体誰のためのものなのか。
最後の一日で、透は事件の真相と、自分が忘れていた「あの日」の記憶にたどり着く。
そして午前0時。
長かった一日が、ようやく終わる。
――そう思っていた。
翌朝、透が目を覚ます。
スマートフォンの日付は、昨日と同じだった。