あらすじ

「……済まないが、あなたを妻とも家族とも思えない」

 クロエが王命で嫁いだその日、書類上の夫は今にも死にそうな目と声でそう言った。
 夫の背後にはだいぶ年上の前妻の大きな肖像画。そして間にはおろおろと立つ、肖像画そっくりの半透明の“彼女”が。

「旦那様、憑かれてませんか?」
「ああ、疲れている」

*

 辺境“伯”なんて立派なものではない、辺境にあるいち伯爵家。
 幼くして両親を亡くしてすぐに結婚した領主・アルバートが、再び妻を失って一年以上。辣腕と名高かった彼は塞ぎこみ、殆ど一人で過ごしているという。
 徐々に荒れる耕地に、滞る王家との共同事業。迫る王都の大きな祝祭でも、王へ捧げものをする義務を果たせそうにない。

 事態を重く見た国王は、王妃の侍女であり高名な教会の令嬢・クロエを後妻として送り込む。
 一年経っても変わらなければ、領主の地位から開放すると彼に約束をして。

 妻兼監視役でありながら、葬儀を見慣れているクロエは夫の無気力さに死の気配を感じ取る。
 そこに幽霊となった前妻・ローズマリーが度々訴えかけてきて……。

「分かりました、一緒に解決しましょう」

 クロエは手帳片手にローズマリーの指さしでヒントを貰いながら、アルバートに生きてもらいたいと願うのだが――。


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※2万字以内の短編です。

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アルファポリス
アルファポリス2026/09/22
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