あらすじ
「人を弱くすることしかできない黒魔術師は、もう必要ない」
新たな付与術師との入れ替えで、冒険者パーティを追放されたサム。
そんなサムのもとに、ある伯爵家から奇妙な依頼が舞い込む。
『我が息子の能力を弱体化させていただきたい』
伯爵の息子ハロルドは、神託によって世界を救うと定められた勇者だった。
ただし、重大な問題が一つ。
あまりにも有能な彼は、自分の才能を自覚すると、善意から世界を支配しようとする可能性があるというのだ。
そこでサムに与えられた仕事は、ハロルドの能力を封印し、本人に気づかせないまま、三年後に訪れる災厄から世界を救わせること。
サムは黒魔術を応用した特殊な付与魔術だと説明し、必要なときだけ封印を緩めることにした。
「すごいな、サム! 君の付与魔術は本当に頼りになるよ!」
……いや、君がすごいんだよ。
これは、役立たずとされた黒魔術師と、自分の才能にだけは気づかない勇者が織りなす、勘違いと友情の物語。