あらすじ
兄が死んだ。
二十三歳。
優しくて、友達が多くて、誰かに頼られるような人だった。
俺にとっては、ずっと憧れの兄だった。
葬儀を終えた夜。
兄がよく煙草を吸っていた車庫で、一人泣いていると――
「お前、泣いてんの?」
死んだはずの兄が、そこにいた。
どうやら兄は、四十九日までこの場所に留まるらしい。
けれど兄には、自分がなぜ死んだのか、その記憶がない。
鬱病。
親友とのすれ違い。
仕事。
将来への不安。
家族にも見せなかった弱さ。
四十九日という限られた時間の中で、俺は少しずつ、知らなかった兄の姿を知っていく。
そして最後に問い直す。
勇者とは、どういう人間を指すのか。
これは、誰かを救いながら、自分自身を救えなかった兄と。
その背中を追い続けた弟の、四十九日間の物語。