あらすじ
東京の下町で、亡き祖父の古書店を継いだ青年・槙野律。
本をただの「四角い商品」として淡々と捌いていたある晩秋、遺品整理で持ち込まれた古い紀行本から、色褪せた一枚の栞が滑り落ちる。
そこには、手描きの略地図と、震える筆跡で記された一行の言葉。
『この旅の終わりに、私を許してください』
日付は、ちょうど三十年前の十月。
持ち主だった女性は生前、東北の話題を病的なまでに避けていたという。
なぜ彼女は北へ向かったのか。
なぜ、旅の終わりに「許し」を請わなければならなかったのか。
信州の林檎畑、会津の黄落、そして本州の北の果てへ。
古本屋の青年が栞の足跡を辿る先で紐解かれる、三十年前の美しくも哀しい「嘘」の真相。
本を開くすべての人へ贈る、秋の旅情ミステリー。