あらすじ
日本は、緩やかに衰退している。
皆が次々と「異世界」へ行ってしまうからだ。
剣と魔法の世界。そこでなら自分だけの才能を見出してもらえ、仲間と出会い、世界を救うことができるという。
ユウキは、そんな異世界をひそかに「楽園」と呼んでいた。
父も、母も、弟も妹も、教師も、そして友人も。
周囲の人々がひとり、またひとりと楽園へ消えていく中、残された者たちは「いつか自分も選ばれること」を待ち続けている。
そしてある夜、ついにユウキのもとにも異世界からの迎えが訪れる。
「選ばれること」への羨望と、ここではないどこかへの憧れ。
異世界召喚を題材に、去る人と残される人を描いた、少し苦い短編。