あらすじ
孤児院育ちの少年ロアンが十歳で授かったのは、誰も欲しがらない外れスキル「無縁」。
「無縁だと? 孤児院育ちにお似合いのハズレじゃないか」
教会の壇上で嘲笑われ、それでも彼は自分の力を証明しようと無茶をした。初めての依頼で無謀に技を振るい、己の右腕を失う。そしてその同じ夜、家族同然のシスターは殺され、妹のように慕っていた少女は攫われた。
全てを失った少年は、名を捨てた。
「灰色」と蔑まれた言葉を、そのまま自分の名にして。
六年後。
「グレイ」と名乗る青年は、単独でAランクに至った冒険者になっていた。本来同時には扱えないはずの二つの力を、右腕の義手ごしに同時に叩きつける。周囲は知らない。それが、誰にも再現できない「無縁」の到達点だということを。
己を見捨てた故郷への復讐。
そして、生き別れた妹の奪還。
繋がるはずのない力を繋いだ孤児が、繋がるはずのなかった全てを取り戻しにいく。