あらすじ

死ぬ順番は、もう決まっている。 山間のダム湖へと沈んだ故郷の集落。 数十年ぶりに葬儀のため帰郷した湊谷真一は、幼馴染だったはずの女性・紗和と再会する。 けれど、何かがおかしい。 連絡先は残っているのに、携帯電話は繋がらない。 幼い頃の記憶を尋ねても、紗和は曖昧に笑う。 そして何より――彼女には、まるでこの世に存在していないような気配があった。 神社に残された古い「産子(うぶこ)の帳面」。 そこには、かつて集落で生まれた者たちの名前が、年齢順に記されていた。 三好夫妻。田原。吉村。本田。森本。紗和。そして、真一。 帳面に記された名前をなぞるように、人がひとりずつ死んでいく。 湖底に沈んだ祠。 忘れ去られた産土神。 亡者のように現れる“何か”。 そして真一は、幼い日の自分が口にした、ひとつの願いを思い出す。 ――カエシテクダサイ。 あの日、自分はいったい、誰に何をかえしてほしいと願ったのか。 これは、湖底に消えた祠と、 帰れなかった少女を巡る、静かな因習幻想譚。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/09/22
  • 現在の作品沈まない祠 ―最後の産子―