あらすじ

アルシェット王国の第二王子クレイスは、冷酷な人物として通っています。けれど本当は、冷たく言い放った直後に「いまの、痛かったですか」と聞いてしまう人です。人を叱った夜のことを聞かれると、答えられなくなる人です。 彼の冷酷が成立していたのは、相手がいつも黙って傷つく善良な令嬢だったからでした。 その令嬢、公爵令嬢ロゼリア・ヴァルトが、八年続けた善良をやめます。学院の評価簿はN、記載事項なし。婚約者に名前を呼ばれたこともない。善良でいれば助かるはずが、助かりませんでした。 「わたくし、明日から悪役令嬢に戻ります」 けれど、戻ったロゼリアがやったのは悪事ではありませんでした。学院の規程集のいちばん後ろに書いてある、異議申立ての手続きです。予算の不明朗、見逃された遅刻、緩められた門限、規程にない採点項目。ひと月で七件。 悪役令嬢が噛みついてくると、殿下は冷たくする理由を失います。答えれば、地が出ます。

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小説を読もう2026/09/22
  • 現在の作品悪役令嬢と冷酷王子――わたくしが黙っていたから、あの人の冷酷は成立していました