あらすじ
三年後、主人公パーティに敗れて処刑される悪役貴族――ギルバート・フォン・ローゼンベルク。
そんなゲーム世界の男に転生してしまった俺は、十三本ある死亡フラグを徹底的に調べ、一つの共通点を発見した。
全部、屋敷の外で起きる。
「じゃあ、出なきゃいいじゃん」
そこで俺は、原作では鍵開けと盗み聞き程度にしか使われなかった不遇スキル【絶対遠隔調律(リモート・マスター)】だけを十二年間鍛え上げた。
使い魔の視界を借りる。
使い魔を操る。
魔導通信へ割り込む。
遠く離れた場所へ声と姿を届ける。
これなら部屋から一歩も出ずに、破滅イベントを全部処理できる。
――はずだった。
俺の何気ない言葉は、なぜか人外じみた威厳たっぷりの声に変換される。
「部屋を掃除してほしい」と頼んだだけの暗殺者には、生涯の忠誠を誓われた。
王城へ行きたくないから遠隔で出席しただけなのに、貴族たちは「王すら自らの前へ呼びつける怪物」だと震え上がった。
俺はただ、死なずに楽に暮らしたいだけなんだが。
破滅を避けるほど原作は遠ざかり、人も、国も、古代の魔導網さえ、引きこもり悪役貴族の部屋へつながっていく。
これは、本人だけが自分を大物だと思っていない「塔の主」の、完全リモート破滅攻略譚。