あらすじ
かつて世間を震撼させた
――都市部の大学で起きた集団強姦事件――
事件発覚直後からテレビのワイドショーを連日騒がせた。
メンバーが逮捕されて半月後、世間で大騒ぎになっている様相にコメントを求められた当時の国政与党の閣僚議員は
「女性にもいかにも『シテクレ』というのがいるでしょ?そういう格好している方が悪いんだよ。」
この言葉を聞いた当時20代前半のOLだった水戸結子は
「何の罪もない女性たちが、ただでさえ理不尽に十分傷つき苦しんでいるというのに、女性たちに対する思いやりのかけらもない。
この国の代表者として恥ずべき言葉だ。怒り心頭に発するとはこのことだよ!」と、瞬間沸騰で憤慨した。
理不尽に誰かが傷つくのは、断固として許せない。
時が過ぎ、さまざまな経験を重ねた結子は、とある地方大学の非常勤講師として勤務することになった。
そこで闇に葬られている事件を聞く。
二人の女子大生と付き添った非常勤講師が集団レイプされ、生き地獄に落とされた。
――都市部の大学で起きた集団強姦事件の模倣事件――
犯人の目星はついている。にもかかわらず、一部の権力が世間を忘却へと誘い続けている。
金で動くマスコミには心がない。
「少子化が進んでいる日本にも元気のいい男性がいてくれてほっとする。」と言った政治家さえも「冗談のつもりで言った」を、罷り通して巧く有耶無耶にする。
女性が証拠として提出するためのDNA採取や、強姦に伴う性感染症の検査のための病院検査には、健康保険がきかないらしい。
心の傷を抱えて病院に向かう被害者を追い回して世間に晒すマスコミ。
やがて疲弊した被害者たちの中には、襲われたのは自分に落ち度があると考えるようになって、届けを取り下げる被害者もいるという。
あの日、自分が付いていったら3人を救えたかもしれない。
そう考え続けている横川義果と、水戸結子が出会った。
横川義果は、被害者になった非常勤講師の幼馴染だった。
二人が目的を共にした日の帰り、水戸結子に奇怪な出来事が起きる。
狂気にも思える横川義果の執念を、水戸結子は――
これは、現実世界と幻覚世界を行き来できるようになった主婦が、闇を闇で闇に変える物語。