あらすじ
王都は落ち、父王も兄姉も処刑された。
たった13歳で王位を継いだ第3王女カタリナの手元に残ったのは、丘の離宮、逃げ込んだ領民、わずかな兵、そして王国を滅ぼしに来た帝国軍5万人だった。
だが彼女には、前世――航空機メーカーの研究者として生きた記憶がある。
使える魔法は、同じ体積の物質を入れ替えるだけの「転移魔法」。火球も雷撃も出せない。ならば密度、質量、距離、温度差、そして化学を使えばいい。
5万人の帝国軍が消えたあと、待っていたのは勝利の宴ではなかった。5万人分の後始末、680人の捕虜、9割以上を失った行政組織、遺族補償、占領軍についてきた商人たちの国外退去。カタリナは魔法より先に、女王として国を立て直していく。
しかし帝国には、5万人がどこへ消えたのか分からない。
「海軍へ寝返ったのか?」
混乱した帝国は、今度こそ確かめるため8万人を送り込む。
そして二度目の大軍が低湿地で壊滅した夜、神は13歳の女王へ告げる。
「君は十三万人の魂を持っている。もう魔王になれるよ」
科学で戦争を生き残り、行政で国を再建し、ついには“魔王”になる少女の国家再生譚。