あらすじ
前世の記憶を持つユウリは、異世界リュゼアで遺品整理人として働いている。遺品整理人の仕事は、亡くなった人の部屋から品物を仕分け、持ち主の意思を確かめ、本来の届け先へ返すこと。ユウリの技能《残響照合》は、品物に残った最後の「返してほしい」という感触だけを拾う。記憶を読めるわけでも、嘘を見抜けるわけでもない。そんなユウリに、世界を救った勇者アスト・レオンハルトの屋敷を片づける依頼が届く。勇者は魔王を討ち、十七年前に死んだ――誰もがそう知っている。屋敷に残されていたのは、使われなかった結婚指輪、魔王からの手紙、英雄譚に記されていない七人分の遺品、そして「討伐をやり直すな」という警告だった。品物を本来の持ち主へ返すたび、ユウリは英雄譚から消された仲間たちに出会う。最後に残った鍵が開くのは、死んだはずの勇者が待つ部屋。遺品を返す仕事から始まる、英雄の後始末と、二度目の魔王討伐を止める長編異世界ファンタジー。