あらすじ
その赤い場所では、近い未来――誰かが死ぬ。
ならば、赤くなくなるまで「世界の壊れ方」を変えればいい。
第三王子カイレスの固有能力《災害地図》。
それは、人が死ぬ危険のある「場所」だけを赤く映し出す。
原因はわからない。死ぬ時刻も、助け方もわからない。敵の弱点も、未来の正解も教えてくれない。
攻撃力すらないその能力を「国家の役には立たない」と見なされたカイレスは、王位継承争いから外され、洪水、崩落、魔物被害の絶えない辺境へ事実上追放される。
――だが、評価した側は知らなかった。
カイレスの前世は、日本で河川・砂防・防災に携わった技術者。
水がどこへ流れるか。斜面がどこから崩れるか。橋がなぜ落ちるか。人と魔物が、どこを通れば死ぬのか。
《災害地図》が死ぬ場所を示すなら、現場を読み、原因を暴き、死ぬ条件そのものを潰せばいい。
洪水なら流れを変える。崩落なら先に崩す。魔物なら、殺せる地形へ追い込む。
そして王国最悪の辺境は、彼が来た日から変わり始める。
「役立たずの第三王子」だった男が、やがて災害も、魔物も、敵軍すらも――「世界の壊れ方」を利用して叩き潰す。
これは、未来を予知する英雄の物語ではない。
「予測できた死」を、一つ残らず消していく王子の物語だ。