あらすじ
ナゴヤ球場の横にある厳しい寮生活から「1年でも早く脱出したい」という執念だけでホームランを量産し、異例のスピードで一軍昇格を果たした中京D球団の日向光(ひゅうが ひかる)。
しかし、一軍の監督室に現れた彼は、着崩したユニフォームに野生のオーラを纏った超絶不健全な問題児だった。
「人妻と18歳以下には手を出さない」という鉄の掟を掲げ、夜の街での遊びを「夜のペナントレース」と言い放つ日向に、堅物の立野和孝監督は早くも胃薬を手放せなくなる。
【夜の街のカリスマへ】いざ試合が始まれば、日向はバンテリンドームの5階席へ特大の一撃を叩き込むバケモノだった。
ヒーローインタビューで「夢は栄でシャンパンタワーを建てて名古屋嬢と遊びまくること」と堂々宣言したことで、名古屋・栄の歓楽街は彼を大口の太客(パトロン)として街を挙げて歓迎するようになる。
日向に振り回され、胃を痛め続ける立野監督の姿は「中間管理職の星」として世間の同情を誘い、なぜか国内大手の胃腸薬のCMに起用されて全国大バズりする事態に発展する。
【他球団の崩壊と、夜のパワーバランスの激変】日向の存在は、球界の勢力図だけでなく「夜のパワーバランス」さえも激変させていく。
因縁のC球団との対戦では、バックネット裏に陣取った名古屋嬢たちが相手のドラフト1位野手・高梨に強烈な「下ネタのヤジ」を飛ばして自爆に追い込む。
業を煮やしたC球団のオーナーが、ヤジを止めさせようと変装して栄のキャバクラへ裏金交渉に赴くも、正体を見破られて夜のプロたちに予算の骨の髄まで毟り取られてしまう。
さらに舞台は大阪・北新地へ。
C球団は日向をハニートラップで貶めようと画策するが、日向の圧倒的な器の大きさと紳士的な気遣いにキャバクラ嬢や黒服、挙句の果てにはC球団の大口スポンサーの社長たちまでもが完全に心酔。
甲子園のバックネット裏が日向の応援団で埋め尽くされ、C球団オーナーに「あいつは野球選手やない、ネオン街の宗教指導者や」と言わしめるのだった。
【結末・そして伝説へ】一方で、日向がマスコミの注目を一身に集めたおかげで、ストイックな大打者・月影光はプライベートを隠し通すことができ、密かに日向に感謝していた。
そして迎えた、日向の20年目の引退試合。
セレモニーで月影を栄のキャバクラに誘って彼の妻(結奈)に睨まれ、立野監督からは「お前のせいで20年間どれだけ胃薬を飲むハメになったか!」と涙の恨み節をぶつけられるが、日向は最後まで不敵に笑っていた。
その1年後、今度は立野監督の勇退試合。
「日向がいなくなって胃薬の減らない毎日がこれほど寂しいとはな」と劇薬の去った寂しさを滲ませつつも、元監督はスタジアム中に響き渡る声でこう叫ぶのだった。
「わしは隠居しても、決して、お前のいるキャバクラにはいかんからな!!」球界の昼と夜を支配した不世出の天才打者・日向光と、彼に振り回され続けた人々の熱狂的な22年間を描いた、前代未聞の痛快野球コメディ。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体、球団、番組等とは一切関係ありません