あらすじ

三年前の失恋から、時間が止まったままの尾上湊、二十一歳。 学校を卒業しても。 仕事を始めても。 周りだけが先へ進んでいくような気がしていた。 そんなある夜。 昔住んでいた街で一人煙草を吸っていた湊は、銀髪に水色の瞳をした年上の女――林澪に声をかけられる。 「うちの店で飲んでかない?」 連れていかれた、小さなスナック。 煙草の火を移してもらって。 どうでもいい話をして。 少しだけ笑って。 酔った勢いで、湊は言う。 「犬って、いいですよね」 笑われると思った。 けれど、澪は笑わなかった。 「尾上くん、ワンって言いなよ」 客と店員。 仕事と素顔。 煙草と煙草。 傷はまだ残っている。 過去だって、綺麗には終わっていない。 それでも。 恋愛なんて、トラウマを抱えたままでもいい。 恋の始まりなんて、案外こんなものなのかもしれない。 次に会ってもいい。 そう思える誰かと出会った、たった一晩の物語。

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小説を読もう2026/09/22
  • 現在の作品尾上くんはワンってなく