あらすじ
五十一歳の鳥居翔平は、妻と二人で小さな雑貨店を営んでいる。
変わらない毎日。
変わらない妻。
変わらないはずだった。
ある日、翔平は蔵の奥で古びた金属の箱を見つける。
箱には、こう書かれていた。
——回収箱。
それから、翔平の周囲で奇妙な出来事が起こり始める。
村人の不可解な傷。
突然の失踪。
身体に現れる異変。
そして、自分自身の記憶に残る「空白」。
忘れたのか。
忘れさせられたのか。
それとも——。
妻はいつも笑っている。
「大丈夫よ、翔ちゃん。」
その言葉を聞くたび、翔平は安心する。
なのに、なぜだろう。
妻の笑顔を見るほど、胸の奥がざわついていく。
回収箱に集められているものは、一体何なのか。
なぜ自分は、その箱を知っているのか。
そして——自分が忘れていることは、本当に忘れてしまっていいことなのか。
記憶の奥に隠された真実が、少しずつ姿を現していく。