あらすじ
百年に一度、夜空に現れるという凶星。
それは国を混沌へ導く、災厄の兆し。
凶星がもたらす呪いを打ち払うのは、星の彼方より現れる乙女――『星の聖女』。
誰もが幼い頃から知っている、古い御伽話だ。
そして今年、王国は百年に一度の節目を迎える。
三か月後に控えた《星降祭》を前に、王都ではいたるところに飾りが施され、商人たちは声を張り、祭りを待つ人々の熱気は日を追うごとに高まっていた。
王宮を離れ、北部ザーレン支部へ赴任する道すがら。
若き宮廷魔法使いノエル・アルヴェインは、それらを乗合馬車の車窓から眺めながら、小さく欠伸をした。
「この分だと、今年の星降祭は見られないかな」
少し残念そうな呟きは風に流れ、馬車は北へと進んでいく。
祭りまで、あと三か月。
誰もが御伽話だと思っていた伝説が、静かに動き始めていた。