あらすじ
高校二年生の蒼井悠は、学期末の大掃除で古びた一冊の『史記』を拾った。
何気なく「五帝本紀」を開いた次の瞬間――気づけば、見知らぬ時代に放り出されていた。
そこで出会った男の名は、軒轅。
のちに「黄帝」と呼ばれ、中国古代の王たちの祖として語られる人物だった。
悠の手元にあるのは、現代から持ってきた一冊の『史記』だけ。
これから誰が現れるのか。誰と誰が争い、最後に誰が勝つのか。
歴史に残った「結末」なら分かる。
けれど、戦いがいつ始まるのかは書いていない。
敵がどこから来るのかも、明日何が起きるのかも分からない。
ましてや、歴史に存在しない自分が生き残れるかなんて、どこにも書かれていなかった。
だったら、読むしかない。
自分の目で見て、人に聞いて、考えるしかない。
黄帝、堯、舜、そして夏、殷、周、秦、前漢へ――。
これは未来を何でも知っている高校生の物語ではない。
何千年後に残った、ほんのわずかな記録を頼りに、『史記』の行間を生き抜いていく少年の物語。