あらすじ

その場所では、子供が売られていた。 文字を読めない。 暦を知らない。 自分たちが何年に生きているのかすら分からない。 大地震から一年。 教育を失った社会で、知識を持たない人間から順に「商品」へ変わっていく。 少年ハルも、その一人だった。 刑務所と市場が一体化した巨大施設。 閉ざされた通路。湿った壁。絶えず響く低い振動。 ある日、警備の隙を突き、ハルは脱走する。 上へ。 地上へ。 まだ見たことのない空へ。 長い階段を登りきった先にあったのは、青空ではなかった。 巨大なガラスの向こうを、魚が泳いでいた。 ここはどこなのか。 今は何年なのか。 なぜ人間が売られているのか。 そして彼はまだ知らない。 その脱走さえ、最初から仕組まれていたことを。

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カクヨム
カクヨム2026/09/22
  • 現在の作品潮くさい空模様