あらすじ
西暦2068年、日本。
その春、日本はまだ一つの国だった。
十七歳の橘征士郎は、国家の中枢を支えてきた名家・橘家の嫡男として生まれながら、ごく普通の高校生活を送っていた。
月城透花。
獅堂恭介。
御門院凛世。
藤堂巴。
そして、一学年下の朝比奈すず。
くだらないことで笑い、放課後を一緒に過ごし、いつか六人で日本を一周しようと約束する。
彼らにとって、東国と西国の政治対立などニュースの向こう側の出来事でしかなかった。
――あの日までは。
中央政府と地方の対立。
独自の軍事力を持ちはじめた各地域。
国家より巨大になった《家》。
そして、日本という国そのものに隠された計画《四柱》。
誰も戦争を始めたつもりなどなかった。
それでも少しずつ日常は壊れ、日本人同士が銃を向け合う時代がやってくる。
やがて六人は別々の道を歩む。
軍人。
政治家。
外交官。
記録者。
そして――裏切り者。
これは英雄の物語ではない。
後に「世界最大の裏切り者」と呼ばれる一人の少年と、歴史に人生を奪われていった仲間たちの、六十年にわたる物語。
世界を救うためなら、愛する国を裏切れるか。
その答えを、歴史はまだ知らない。