あらすじ
目を覚ますと、見知らぬ草原にいた。
空へ届きそうなほど巨大な木。透き通った川。木の実をつける木々と、草原を歩く動物たち。
昨日までどこにいたのか。自分が何歳だったのか。どんな人間だったのか。何も思い出せない。
ただ、眠ったはずなのに、目を覚ますとここにいた。
腹は減らない。喉も渇かない。どれだけ周囲を歩いても、人間の姿は見つからない。
そんな孤独な日々の中、彼は願った。
「誰かと話したい。友達がほしい」
その願いに応えるように現れたのは、赤、青、緑――三つの小さな光だった。
言葉を話すことはできない。それでも、なぜか互いの気持ちは分かった。
一緒に遊び、一緒に過ごし、毎日が楽しくなった。
この小さな世界で、ずっと平和に暮らしていける。
そう思っていた。
――人間がやって来るまでは。
三つの光は、ただ「モンスターだった」という理由だけで殺された。
彼がどれだけ願っても、三人が再び現れることはなかった。
何もしていない。誰かを傷つけたわけでもない。ただ、友達と静かに暮らしたかっただけだった。
それなのに、人間はそれすら許してくれなかった。
「僕が平和に暮らせないのなら――」
やがて彼は、シキと呼ばれるようになる。
七色の眷属。十二の配下。人間たちによって築かれる街。そして、大陸を巡る国家同士の争い。
まだ弱いシキは、人間をただ殺すのではなく、利用し、育て、国を作り、長い時間をかけて力を蓄えていく。
すべては、いつか人類を滅ぼすために。
これは、ただ友達が欲しかった一人の少年が、世界を支配し、そして人間を滅ぼすまでの物語。