あらすじ
異戒師の名家に生まれながら、妖術を一切使えなかった永瀬凛は、七歳で家を追われた。
十六歳のある夜、忘れ物を取りに戻った学校で、正体不明の怪異に殺される。
だが、理科準備室に転がっていた一振りの刀――それは、並行世界で"凛"として生き、理想に殉じて散った少女の成れの果てだった。
「私の姿を貸します。その代わり、人魚の肉を探してください」
契約と共に、凛は少女の姿を借りて蘇る。手に入れたのは、圧倒的な力と、自分が存在してもいいと思いたいという歪んだ願いを満たす手段。
旅の中で様々な妖怪と関わり、好かれていく。
人間の醜さも、怪異の善性も知ってしまった凛が選んだのは……
元の姿を取り戻すための旅の果てで、凜の心を溶かす者は現れるのか。――これは、境界に立つ者の物語。