あらすじ
目を覚ました少年には、名前がなかった。
自分が何者なのか。
どこから来たのか。
なぜここにいるのか。
何一つ思い出せない。
ただ、胸の奥に残っていた。
――消えることのない、激しい怒りと憎しみ。
その理由を求め、少年は旅に出る。
旅の途中で出会う、見覚えのないはずの景色。
初めて聞くはずなのに、なぜか知っている言葉。
涙を流す人々。
「……あなたは、何者なの?」
問いかけられても、少年には答えられない。
自分のことすら分からないのだから。
やがて少年は、世界のあちこちに残された奇妙な「痕跡」に気づいていく。
それは誰かが生きた証であり、
誰かが敗れた証であり、
誰かが死んだ証だった。
そして、それらはなぜかすべて――
少年へと繋がっていた。
自分は何者なのか。
なぜ、この世界を憎んでいるのか。
そして、この世界で最後まで残されているものは何なのか。
少年はまだ知らない。
自らの名に秘められた意味も。
この世界が抱えている「終わり」も。
そして、自分自身が何者としてこの世界に生まれたのかも。
ただ一つ。
少年が歩き始めたその瞬間から、
千年もの間、止まっていた世界が――
初めて、明日へ向かって動き始めた。
これは、終われなかった者たちの最後の物語。
――そして、死者だった少年が、初めて「生きる」ための物語。
彼の旅が始まったその瞬間から、止まっていた物語は再び動き始めた。
これは、終われなかった者たちの最後の物語。