あらすじ
終電で帰った七畳のワンルーム。俺のベッドの上に、角の生えた女が寝ていた。
「私はノクティアの第二王女、ルシエラ。淫魔よ。……あなたの精気、いただくわ」
妖艶に俺を押し倒した三百十二歳のお姫さまは、そこでぴたりと固まった。「……このあと、どうするのかしら」
人間界に落ちた淫魔は、精気を吸わなければ次の新月に消える。なのに彼女は、三百年、一度も吸ったことがなかった。
魅了の魔眼は持っている。使えば一晩で済む。でも彼女は、金の瞳を固く閉じて言った。
「使わない。それは、あなたから盗むことだから」
手をつなげば一滴。抱きしめれば一口。口づけなら一晩。――最後までなら、ひと月。
電子レンジに驚き、洗濯機を溢れさせ、俺のシャツのボタンを弾き飛ばす年上の姫と、ベッドが一つしかない部屋で暮らしはじめる。
疲れきった二十八歳の会社員が、彼女を生かすために、やがて自分の意思で触れていく。
押しかけてきた淫魔の姫と、甘くて少し危うい同居ラブコメ。
※性行為の直接描写はありません。前後の空気と余韻で描きます。