あらすじ
全盲の探偵・翠(みどり)と、彼女を支える助手・千歳(ちとせ)。二人のもとへ、翠の父親の身体の一部という戦慄すべき品が送り届けられる。差出人は「真(まこと)」と名乗る謎の存在。真は二人に対し、計算し尽くされた挑発と暗号のような挑戦状を次々と突きつけてくるのだった。
亡き配達員・岩倉が残した手紙から暗号の座標「35 27 14 137」を解読した二人は、ターゲットの場所が美濃矢町役場周辺であることを突き止める。真相を追って現地へと急行すると、静まり返った敷地には一人の謎の女性と黒いセダンが待ち受けていた。
二人を迎えた女性の手により、目隠しと紙袋を頭から被せられ、視界を完全に奪われた状態で車へと押し込められる翠と千歳。目的地をカモフラージュするかのように二時間にわたって街を迷走した末、車は人里離れた砂利道へと入っていく。車が停車した瞬間、五覚を研ぎ澄ませていた翠は、そこが「廃工場」であることを察知する。
案内役の女性は「私の役目はここまでです」と冷々と言い残し、黒いセダンとともに二人を置き去りにして去っていった。残された二人が静まり返った廃工場へと足を踏み入れると、薄暗がりの中に異様な存在が佇んでいた。
そこに立っていたのは、全身を隙間なく包帯で覆われた大柄な男——「真」その人だった。
「やあ、翠君。会えて嬉しいよ。だが、君が知りたいのは父上のことだろう?」