あらすじ

王都の最北端、薄暗い路地裏にひっそりと佇む古書店『ガラテア』。店主のクララは可憐な少女の姿をしているが、その正体は三百年の時を生きる異端の魔女である。自身も過去の記憶と「影」を失った彼女は、店を訪れる人々から絶望や不都合な記憶を「影」として切り取り、羊皮紙へ書き写して製本することで命を繋いでいた。店内には、こうして集められた数万冊に及ぶ「人間の影の本」が巨大な異空間となって眠っている。 ある夜、重大な軍事機密を握ったまま逃亡した王立騎士団のアーヴェルが店へ駆け込んでくる。彼は追手と自身の罪悪感から逃れるため、クララに己の影を売り渡し、凄惨な過去の記憶を差し出した。しかし翌朝、記憶を奪われ空虚な「人形」となったアーヴェルは、胸に開いた耐えがたい穴に怯え、再び店を訪れて「自分を取り戻したい」と乞い願う。一度製本された影は元に戻らない。クララは冷酷を装いつつも、彼に己の記憶を綴った本『灰の砦の遺言』を閲覧させることを決める。 本を開いたアーヴェルが見たのは、大聖堂の隠蔽工作によって滅ぼされた部下たちの姿と、自分を生かそうとした「祈り」の真実だった。その直後、秘密の漏洩を恐れた大聖堂の枢機卿オルランド率いる聖堂騎士団が店を急襲し、本棚ごと燃やし尽くそうとする。影を失いながらも「残された真実」を守るために剣を振るうアーヴェルの姿に、クララもまた自身が集めてきた本が「人が生きた証」であったと悟る。 クララは店内の数万冊の影の魔力を解き放ち、大聖堂の結界と騎士団を退けた。決戦後、アーヴェルは自らの過去と遺言が記された一冊の本を抱き、影なき者として大聖堂の闇を告発するべく歩み出す。クララもまた、己の失われた最初のページに想いを馳せながら、未来へ続く新たな物語を羊皮紙に紡ぎ始めるのだった。

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エブリスタ
エブリスタ2026/09/21
  • 現在の作品ガラテア古書店の魔女