あらすじ
少年梓豪《ズーハオ》は、妖魔と人間の混血児として生まれた半妖である。
妖魔である父の顔は知らない。ズーハオが生まれる前に死んだからだ。母と二人、出自がバレぬようひっそりと暮らしていた。
「絶対に人前で手袋を外しては駄目よ」
物心ついたときから母に言われ続けた言葉だ。
ズーハオはいつだって両手に手袋を嵌めている。
しかし、村の畑仕事で土まみれになったとき、中に入った土を払いたくて手袋を取ってしまった。
……菜《ライ》夫人が近くにいるとも気付かずに。
言い付けを破った罰だろうか。
ズーハオの素手に触れた瞬間──ライ夫人は糸が切れたように死んでいた。妖魔の力を受け継いだ、ズーハオの黒い毒の爪によって。
その日からズーハオの人生は一変した。
ライ夫人の夫、高《ガオ》村長に虐げられる過酷な日々が始まったのだ。
……しかしこんな不幸はまだ序の口だった。
終わりの見えない地獄の中、それでもズーハオは光を求めて生にしがみつく。
これはそんなちっぽけな少年が、誉れある名家、『周』の名を貰うまでの物語。
*本作は『夢幻泡影』の登場人物、周梓豪《シュウズーハオ》の過去編になりますが、本編をご覧になっていなくても問題なくお楽しみいただけます(*^^*)
表紙及び作中のイラストは全部手描きです。