あらすじ

触れたものが、潰れる。

 三年前、東京湾の埠頭で保護された少女・湊真白には、それより前の記憶がない。行方不明者届も、防犯カメラの記録も、どこにも残っていなかった。あるのはただ、周囲の「重さ」を狂わせる力だけ。

 走らない。怒らない。誰にも触れない。

 三つのルールを守り、息を殺すように生きてきた。たったひとりの友達にも、本当のことは言えないまま。

 梅雨のある夜、高架下で巨大な鋏を持つ男に襲われる。異能を「剪定」し、収穫して回る者たち。恐怖で暴走した力が橋脚をひしゃげさせ、数十トンの鉄骨が崩れ落ちた——その瞬間、落下が空中で止まった。

 雨に濡れないまま立つ、黒衣の女。

「ずいぶん下手に使うのね。——それは私のものよ」

 彼女は高圧的に命じる。人を傷つける力と、傷つけたくない優しさ。その両方を抱えて立て、と。

 なぜ彼女は、真白しか知らないはずの子守唄を口ずさむのか。なぜその背には、刃で丁寧に開かれた古い傷があるのか。

 東京の夜を舞台に、重力を狂わせる少女と、名を明かさない魔女の物語がはじまる。

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アルファポリス
アルファポリス2026/09/13
  • 現在の作品東京グラヴィティ