あらすじ
十七歳の時、無実の罪(冤罪)で全てを奪われ、世界の誰も自分の言葉を聞かなかった。少年は逃げるように、生還率ゼロとされる『六甲山ダンジョン』へと消えた。
それから、八年。
彼は世界初のダンジョン完全踏破者――暫定EXランク『真神幸一郎』として帰還する。
すでに彼の無実は証明されていた。
手のひらを返し、必死に謝罪の機会を乞う警察や国家。
「公益性」や「国益」を盾に、世界の最深部情報を求めるマスコミや世論。
彼を再び国家という鳥籠に縛るため、何も理解できない者たちが傲慢にこねくり回す『真神法案』。
だが、八年間の地獄を生き抜いた幸一郎の心に、復讐の炎など灯ってはいない。
彼は人間不信の怪物になったわけではない。
ただ、「日本社会」という理不尽なシステムだけを、風景のように静かに切り捨てた。
「お前たちの話を聞く必要を、俺は感じていない」
牙を剥くことすらしない青年の『圧倒的な無関心』と『沈黙』。
情報も、資源も、信頼も、すべてを「与えられない」という究極の断絶を突きつけられた時、依存しきっていた国家、メディア、そして大衆は、自分たちが過去に犯した罪の重さに恐怖し、勝手にパニックに陥り、内側から自壊していく。
国家が、メディアが、世界が、彼の動向ひとつにどれほど翻弄されようとも。
世界は、誰かを置いて勝手に回り続ける。
ならば、彼もまた、自分のための人生を歩むだけだ。
――これは、牙を剥かぬ最強の男が、無責任な社会に突きつけた最も静かで残酷な断絶と、その先にある男の旅路。
【本編完結済み】
※本作品は「小説家になろう」にも掲載しています。