あらすじ
十九歳の薬師ルタは、王宮で起きた連続毒殺事件の犯人として処刑された。 最後の食事は石みたいに硬いパン。心残りは、一度も食べられなかった下町の串焼き。
……のはずが、目を開けたら三年前、師匠の薬屋の天井だった。
今度こそ王宮には近づかない。毒にも関わらない。市場で食べ歩いて、のんびり暮らす。そう決めたのに、屋台の串焼きから、前世の事件と同じ毒の匂いがした。おまけに、自分に死刑を言い渡した冷血宰相補佐官が、なぜか毎日店に通ってくる。
「お前、毒に詳しいな」
(詳しいんじゃなくて、処刑されたんです!)
頼れるのは食い意地と薬の知識だけ。ルタは二度目の人生で、冤罪の真相と、師匠の秘密、そして「あの日、彼だけが泣いていた理由」に辿り着く。