あらすじ
39歳、独身、契約社員。
年収300万円。資格なし。借金は2,000万円を超えている。
たかしには、昔から五人の親友がいた。
カリスマ美容師、高級車ディーラー、不動産営業マン、エリート銀行員、そして弁護士。
五人とも年収2,000万円を超え、結婚し、子供にも恵まれている。
一方、たかしには結婚歴がない。
彼女もいない。
それでも、たかしには小さな希望があった。
「いつか女の子を紹介してやるよ」
五人は昔から、そう言ってくれていた。
たかしはその言葉を信じ続けた。
高校卒業後すぐに働き始めたたかしは、かつて五人より金を持っていた。
弁護士を目指していたりょうたを慰めるために飲み代を奢ったことをきっかけに、いつしか「飲み会では、たかしが奢る」という関係が出来上がっていた。
しかし、時が経ち、立場は完全に逆転した。
それでも五人は、たかしを飲みに誘い続ける。
月曜日が休みの友人とは日曜日。
火曜日が休みの友人とは月曜日。
水曜日が休みの友人とは火曜日。
木曜日が休みの友人とは水曜日。
金曜日が休みの友人とは木曜日。
五人にとっては、それぞれ週一回の飲み会。
しかし、たかしにとっては週五回だった。
酒が弱いのに飲まされ、パチンコに連れて行かれ、キャバクラ代まで支払わされる。
「週一回なんだから、ケチるなよ」
「お前の年収が低いのは努力不足だ」
「もっと気合を入れろ」
そう言われても、たかしは断れない。
なぜなら、彼は昔から優しかった。
そして、自分には「優しさしか取り柄がない」と思っていた。
いつか友達が紹介してくれるという女の子。
いつか自分にもできる家庭。
その小さな希望を失いたくなくて、たかしは五人との関係を切れなかった。