あらすじ
「地味で無能なお前など、我が男爵家にも近衛騎士である俺の妻にも相応しくない」
妹の華やかな治癒魔法を引き立てるため、濡れ衣を着せられ婚約破棄・実家追放されたシビル。
家族のために無償で管理してきた薬草園の鍵を返し、シビルは乳母とともに下町の職人街へ。
「これからは、自分のためだけに誠実にお茶を淹れよう」
元染物屋の古民家を借りて開いた、薬草茶と素朴な仕込みパンの店『沈黙の緑』。
シビルの持つ「植物の力を極限まで引き出す微細魔力」と的確な処方は、激務と胃痛に苦しむ官僚、不眠症の研究官、筋肉疲労に悩む騎士たちを次々と救い、店は疲弊した男たちの秘密の聖域となっていく。
そんな中、夜な夜な通い詰めるようになった謎の役人「ヴァル」。
穏やかにお茶を飲み干す彼は――実は、帝都全土が恐れる特務監察局長にして最高峰の貴族、ヴァルデマー公爵だった。
しかも彼は、5年前に戦場で命を救われて以来、シビルだけを一途に捜し続けていた重度の執着男で……!?
一方、シビルを追い出した男爵家と元婚約者は、彼女の内助の功が消えたことで薬草園が全滅、偽薬トラブルに借金まみれと転落の一途を辿り――。
「君を二度と手放す気はない。だが、君の自由な生き方と店は、俺の全てを賭けて守る」