あらすじ
冒険者としての適性を示す「ステータス」は、ダンジョンに潜り、深部の神殿で"更新"するまで誰にも見えない。
だからこそ、スカウトの場で誰もが見た目や噂だけで新人を値踏みする。
祖母を亡くし、生きるためだけに冒険者になったヴェルディも、そうして見捨てられるはずだった。田舎育ちの、なんの実績もない少年。他のスカウト担当は誰も彼に目を留めなかった。
ただ一人、直感スキルを持つクランマスター・セレスティアだけが、彼の中にある「何か」に気づいた。
「なんとなく分かるのよねぇ」
理由も分からないまま拾われて加入したのは、かつて名門と謳われながら、今は見る影もなく衰退した弱小クラン《新緑の剣》。
けれど、そこには不器用に温かい人々がいた。厳しく鍛えてくれる先輩、憎まれ口を叩きながらも支えてくれる同年代の少女、そして誰よりも自分を信じてくれるクランマスター。
初めての依頼で牙兎相手に膝をついたあの日から――ヴェルディは、泥臭く、少しずつ、確かに強くなっていく。
他の新人が数ヶ月かけて至る場所に、数週間で。
誰も知らない、彼だけの成長速度で。
見向きもされなかった少年が、いつか誰も予想しなかった場所まで駆け上がっていく――そんな成長の物語が、今、始まる。