あらすじ
骨だけですが、魔王を目指します
土の中から這い出したら、私には肉がなかった。
声も出ない。助けを呼ぼうとしても、歯がカチカチ鳴るだけ。拾った刃こぼれの剣を頼りに森へ踏み出せば、獣に追い回され、骨までばらばらにされてしまう。
生まれ変わっても、私は逃げてばかりだった。
そんな最弱のスケルトンが出会ったのは、一匹のコボルト。言葉を返せない私にも、少しずつ居場所ができていく。
けれど、この世界で魔物は狩られるものだった。肉を食べるために。武器や道具の材料にするために。そして、人間とは姿が違うというだけで。
ようやく見つけた居場所まで、失いたくはなかった。
仲間と戦い、知恵を出し合い、ときには食べられない料理に口をつけながら、私は少しずつ強くなっていく。
やがて人間側に、新たな勇者が誕生する。
魔王を失って二十年。魔物たちの頂点に立つ十三冠は、誰を次の王とするかで争い始めた。
名門の悪魔も、歴戦の怪物も、自分こそがふさわしいと譲らない。
その中で、骨しか持たなかった私にも、譲れないものができていた。
これは、逃げ癖のある一人の男が、仲間の帰る場所を守るため、魔王を目指す物語。