あらすじ
「私にレクイエムを完成させてみせろ」――モーツァルト本人の声に呼ばれ、東京藝大生の倉瀬聡美は1785年のウィーンに飛ばされた。
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「本物のモーツァルトの音楽が聴けたら……きっと、こんな感じなんでしょうね」小さく呟いた聡美の前に、ヴァイオリンを手にした男が歩み寄り、白い鬘を脱いだ。
「本物のモーツァルトの音楽とは、どういう意味か……教えていただけますか。この私、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトに」
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1791年12月、モーツァルトの死とともに未完で終わる《レクイエム》。それを、彼自身の手で完成させろというのか。
しかも、いるのはモーツァルトだけではない。
「エステルハージ侯爵の楽長を務めております、ヨーゼフ・ハイドンと申します」 ――交響曲の父? パパ・ハイドン?
ようやくウィーンの暮らしに慣れてきたと思ったら――
「僕は1770年、ボンに生まれまして、宮廷テノール歌手の父と慈愛深い母のもとで――」 ――名前だけ言って、名前だけ! 「ル……ルートヴィヒです。ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」 ベートーヴェンまで? これも「運命」ですか?
古典派の巨匠たちがひしめく、十八世紀のウィーン。形ばかりの妻を持つ傲慢な天才と、未来から来たピアニスト。
「いいわ。こうなったら……作ってみせましょう」
※史実と異なる設定を含みます。
※完結済み原稿あり・毎日更新(予定)