あらすじ
六年間、母亡き伯爵家の領地経営と家計を実質的に担ってきたクラリス。
ある夜、父から告げられたのは、妹ソフィアの婚約者レオナルドを養子に迎え、次期当主にするという決定だった。
「分かりました。では、借金も含めて、全部お引継ぎいたしますね」
翌朝、机に並んだのは三十二枚の債務一覧。
総額は金貨三万八千二百枚。
そのうち八千枚の貸主は、クラリス自身が育てたグレイス商会だった。
後継者を降りるなら、家計への補填も終える。
ただし、途中で仕事を投げるつもりも、家族を破滅させるつもりもない。
これは、六年間ひとりで抱え込んできた「家の仕事」を、三週間かけてきちんと手放す話。