あらすじ
神獣使いの学院を主席で卒業した硝野しらほには、ただ一つ困ったことがあった。
生涯、魂を結ぶ「主契約」の相手がいない。
能力や将来のためではなく、「この人でなければ嫌だ」と思える相手を選びたい。けれど、しらほ自身はまだ一度も恋をしたことがなかった。
そんな彼女の前へ現れたのは、誰もが畏れる最上位・天霊級の神獣、久那岐。
「俺と契約しないか」
「お断りします。久那岐様を見ても、特に心が動きませんでしたので」
能力には何の不足もない。足りないのは、ただ「ときめき」だけ。
すると恋愛経験皆無の最強神獣は、あっさりと言った。
「では、そこを満たせばよい」
恋愛小説を読み、贈り物を選び、手の触れ方を研究する久那岐。
自分の脈や体温まで確かめながら、その効果を律儀に報告するしらほ。
こうして二人の、三十日間の“ときめき実習”が始まった。
けれどその最中、各地で霊力の流れに異変が起こる。
強大すぎる久那岐の力さえ呑み込もうとする異常を前に、しらほはやがて、測定器では測れない感情に気づいていく。
「安全だから」ではなく、「あなただから」選びたい。
恋を知らない主席神獣使いと、恋愛を履修する最強神獣が、生涯を共にする相手を選ぶまでの異類婚姻ロマンス。