あらすじ
目を覚ましたら、戦国時代だった。
しかも俺の名は――織田信広。
織田信長の兄である。
「信長の兄なら勝ち組では?」
最初はそう思った。
だが、記憶を辿って気づいてしまう。
史実の織田信広は、今川方に捕らえられて徳川家康との人質交換に使われ、その後は弟・信長への謀反まで企てる男だった。
……このまま歴史通りに生きるの、危なくない?
天下なんていらない。
英雄にもなりたくない。
弟と仲良くして、未来の知識を少しだけ利用して、戦国時代を安全に生き抜く。
それだけのはずだった。
しかし、兄の存在によって歴史は少しずつ狂い始める。
起こるはずの戦が変わり。
出会うはずのなかった武将と出会い。
知っているはずの未来が、次々と役に立たなくなっていく。
そして何より――。
幼い弟・吉法師は、兄の影響を受けながら、史実よりも早くその才能を開花させていく。
未来を知っている兄・信広。
未来など知らず、自ら未来を作っていく弟・信長。
これは歴史の脇役として終わるはずだった男が、天下を望まないまま戦国の歴史を大きく変えてしまう物語。
――とりあえず、弟には絶対に逆らわないでおこう。