あらすじ
人の体の中には、悪いものから人を守る「小さな騎士」がいる――。
幼い頃、母からそんな話を聞いて育った双子の料理人、ジャックとジョージ。
二人が暮らすコトルー王国は、海と山に囲まれた豊かで平和な国だった。
ある日、王女ミレーユが食事の最中に突然倒れる。
原因は毒ではなかった。それは、身体を守るはずの「騎士」が敵ではない食べ物にまで過剰に反応してしまう病――「荒れる騎士」だった。
未知の病に立ち向かったのは、薬草と魔法で人々を治療してきたアレクシスと、病の原因知るジャックたちだった。
やがてジャックとミレーユは心を通わせ、二人の運命は王家と深く結びついていく。
一方、遠いフラン共和国では、議会議員サラザールによって謀略を実行されていた。そのことがきっかけで一人の身体に二つの意識を宿してしまうマーガレットとエリザベス、そして古代文明の遺産である「オーブ」。
治癒、空間移動、封印、炎、氷――人々を救うために生み出された力の中には、争いを生む「破壊のオーブ」も存在していた。
やがて明らかになる古代文明バルパトの滅亡。
そして、過去の罪を背負ったサラザールの償い、失われた国、病によって途絶えた人々の歴史。
ジャックは、病を防ぐだけでなく、天変地異から国民を守る方法を考え始める。
その想いは次の世代へ受け継がれ、ジャックとミレーユの双子の息子、リアムとノアは「勇者」と呼ばれるようになる。
しかし、彼ら自身は英雄になろうとしているわけではない。
困っている人がいれば助ける。
守るべき人がいれば守る。
たとえ、それが理不尽に思えることであっても――。
王、聖者、賢者、勇者。
特別な力を持つ者たちが織りなす物語の中で描かれるのは、特別ではない日々を大切に生きる人々の姿。
これは、魔法の力の強さではなく、
「誰かの平凡な日常を守りたい」という普通の心こそが、人を偉大にする――
そんな「平凡で偉大な者たち」の物語である。