あらすじ
生まれの記録もない孤児エルマは、16歳で施設を出され〈ローズフィールド王立家政アカデミー〉へ連れてこられる。
なんとそこは一流の使用人を育てるメイド養成学校だった。
孤児は世間の目が冷たく、見えない序列や優劣がある。
そんな境遇にある幼い子供たちを守ろうとしてきたエルマは、相手が大人でも怯まず噛みついてきた。
……おかげで“野良犬”と呼ばれるほど粗野で、作法も言葉ない。
なのに彼女にメイド服を着せて、気品と奉仕を学べというのだった。
学校では、主人と屋敷を守るための能力を一つだけ授かれる。
能力は必要だと強く願えば発現し、目覚ましなど他愛もない能力があれば、炎や電撃など驚異的なものまで――。
使用には授業評価で得られる〈メイドポイント〉が必要で、食事など生活通貨も兼ねている。そして生徒同士の〈ポイント争奪戦〉で負ければこれを大きく奪われた。
エルマはまだ自分の能力が分からない。
だが如何なる攻撃にも怯まず、仲間のために“野良犬”の生身でこれに挑むのだ。
エルマに一流の保証はない。あるのは己の正義心と喧嘩っ早さのみ。
だから彼女は、正しくお辞儀する前に走る。減点される前に、誰かの分まで――。