あらすじ
灰色の汚れと黒い泥で汚れたひどい貧民街で、その日をなんとか生き延びることだけを必死に考えて生きてきた不幸な少女、エナ。
きらびやかな王城の端っこにある古い建物で、誰からもライバルだと警戒されないように大人しく日々を過ごしている可哀想な第三王女、アスタリア。
住んでいる世界も目指している目的も全く違う二人だったけれど、王位を巡る恐ろしい企てが起きたことをきっかけにして、二人の運命はちょっとだけ繋がることになる。世間の人には絶対に知られてはいけない二つの秘密組織、そして王国の田舎の方で、昔から名前や意味がよく分からないまま語り継がれてきた、一匹の不思議な怪物に関する昔話━━それらの複雑な要素が、孤児の少女と寂しい王女、それぞれの人生の裏側で静かに絡み合っていくのであった。
泥棒生活の中で手に入れた鋭い勘だけを頼りにして生きてきた少女は、いつの間にか王国の組織の核心部分へと巻き込まれていく。
今までただ粗末にされるだけだった王女は、自分のつらい立場に対してこれからどう行動するべきかを、心の中で静かに決意していく。