あらすじ
クリエイターの脳内から産み落とされたキャラクターたちを査定し、役目を与え、物語へ配属する組織──「世界構築編纂局」。
かつて王道勇者──になる予定だったセシルは、作者の飽きによる未完放置、通称「エタる」の犠牲となり、物語ごと職を失った。
今では編纂局『第七窓口』に勤める、しがない窓際事務員。
手取り十五万の薄給に耐えながら、今日も他人の物語の尻拭いに追われている。
窓口へ持ち込まれるのは、能力も過去も肩書きも盛りに盛った「無双おじさん」のクソ長い履歴書。
私生活では、失職した元・最高神の女神にギャンブル代をせびられる。
勇者だった頃より確実に増えた胃薬だけが、今やセシルの相棒だった。
そんな彼のもとへ、ある日、上司から一枚の企画書が叩きつけられる。
「予算ゼロ。納期は明日。めちゃくちゃ壮大な王道ストーリーを一本、よろしく」
無理である。
しかし拒否権はない。
サービス残業確定。
徹夜確定。
炎上もたぶん確定。
絶望するセシルの前に現れたのは、驚異的な記憶力を持つ超有能──ただし、どこか致命的に狂っている新人助手・カノンだった。
こうして始まる、世界ひとつを丸ごとでっち上げる一夜のデスマーチ。
トレンドの荒波に流され、勇者から窓際職員へ転落した男が、
血と涙とA4コピー用紙で世界を紡ぐ。
爆笑お仕事ファンタジー、ここに開幕!